万年筆のインクを自分で調合できる、念願のインクスタンドへ行ってきた。
行った日がたまたまモノマチと被っていたせいか数人待ちの状態だったため、名前と電話番号を伝えてお隣のカキモリを覗きながら連絡を待った。
改めて案内された店内は奥に細長く、カウンターで最大6人まで同時に調合できる。立ち飲み店で飲み食いする代わりにインクを調合するような感じ。
店内のそこかしこにビーカーやスポイト、メスシリンダーが見受けられ、まるで理科実験室。
基本色の小瓶を眺めているだけでしあわせな気持ちになる。このインクはカキモリで購入可能。
調合の仕方は店員さんが教えてくれるし、カウンターに敷かれたシートにも書いてあるので手順自体に迷うことはない。
一度に調合できるのは2〜3色。まずは基本色をピックアップし、一滴ずつ小さなプラスチックカップに落とす(基本色の瓶の蓋はスポイトになっている)。それをガラス棒でかき混ぜて、ガラスペンで試し書き。
試し書きに比率をメモし、様々な比率を試して作る色を決める。
2色を1:1で混ぜたカラーチャートがあらかじめ用意されている。
この他にも3色を様々に混ぜた見本が店内の棚に置かれているので、それも参考に。
ガラスペンは試し書きの度にビーカーで洗う。
水にインクの流線が広がる光景は何度見ても飽きない。
試行錯誤の結果。調合が楽しすぎて随分と長居してしまった。
青を作ろうとしていた時、試しに黄色を一滴足したら緑色になって、そりゃそうだと深く納得。
カウンターは店内のライトに照らされているので、入り口近くで太陽光を当てて確認するなどした。
もう少し薄くしたいからといって明るめの色を多めに足すと色合いが変わってしまいなかなか思うようにはいかず、その過程が最高に楽しい。
ああでもないこうでもないと想像上の色の再現に苦心するにつけ、インク工房でふわっと伝えた色を素早く的確に再現してくださる石丸さんの手腕を痛感した。
調合の手順や道具の配置はカウンターのシートにガイドがあるし、試し書きで比率書いておくといいですよと始めにアドバイスをもらえる(試し書き用紙にもその旨が書かれている)し、とにかく色の比率以外のことを考えなくて済むよう徹底して配慮されている印象。
比率を決めたら店員さんに伝えて調合してもらう。できあがったものがこちら(左)。
右は一緒に行った友人のもの。
同サイズの基本色が1000円程度で販売されていることを思うと、調合したインクは2000円と割高なのだけれど、調合する過程こそがインクスタンドの売りだと思うので、興味がある人は行って損はないはず。
比率を書いたカードを入れてくれるので同色のリピートも可能。
でもきっと、次に行ったらまた違う色を調合するんだろうなあ。もうあの調合キットをまとめて販売してほしい。