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だれかへの手紙

letter to you

ツバメノート社屋・別製工場見学。職人さんのものづくり、インクの匂い

文具 社会化見学

昨年(2012年)の夏のある日、ツバメノートさんへお邪魔した。
前のめりすぎて、約束の時間より30分くらい早く着いてしまった。入口見ただけで大はしゃぎ。


入口脇にツバメロゴの入ったトラック。この中に、あのすべらかなフールス紙がたくさん入っていると思うと、もう。

なぜ文具業界の人間でもない、ただのツバメノートファンが見学などという機会をいただいたのかというと、別製(特注。オリジナル)のツバメノートを作ったから。
注文したのは既存のノートにプラスアルファの図案を刷っていただくデザインで、入稿はデータでも可能だったのだけれど、直接伺ってもいいとのことで、ぜひともお邪魔させてくださいとお願いした。

社屋から、別製ノートの印刷を行っている工場へ。
工場といっても外見は民家のようで、知らなければ工場とは思わないような建物。でも扉を開けるとインクの匂い、油の匂いでいっぱいで、ここに印刷のための機械と職人さんがいるのだと教えられる。
今回作る別製ノートについて、入稿データを原寸大に印刷したものとCD-ROMを持って行ったのだけれど、工場にいたおじいさんは、これだけあれば十分、といって印刷した紙一枚だけをあっさり受け取り、入稿完了。

だったのだけど、好奇心を抑えきれず、工場の中へ入らせてもらった。
だって目の前の空間にでっかい機械があって、インクの匂いが充満していて、そんなの気にせずに帰れるほど、自分は慎ましやかな人間ではないのだ。

入って左側に、大きな黒い機械。

その奥にももう一台。

印刷の機械のことはよくわからないけれど、長い時間をここで過ごしてきたってことはわかる。

手前のほうの機械はドイツ製だそう。

25年くらいずっと、手入れをしながら使い続けているとのこと。

白いレバーの位置によって、印刷する速さが変わる。少しだけ動かしてみせてくれて(!)それでも十分速く感じたのだけど、もっと速くすることができるらしい。

蒸気機関車みたいにどっしりとした印象を受ける機械に、赤いレバーがあるのがかわいい。

このメーターを見ながら機械のご機嫌を伺うのかな。

活版の道具もあった。銀河鉄道の夜の世界。

全部が機械化されてレーンに載せるだけで終わるような工場と比べると、とてもこじんまりとして手作業の多い工場。うまく言葉にできないのだけれど、とにかく存在感があって、お願いしたノートを刷ってくださる職人さんや、ノートが作られる現場を見ることができて本当によかった。実感があった。
別製されるノートは、紙を作ったり製本したりスタンダードなツバメノートを刷ったりする、他の工場を経由してからここへ来るわけで、そこにもそれぞれの職人さんがいると思うと、ノートの手触りがはっきりしたような気持ちになった。

工場をあとにしてツバメさんの社屋に戻る。入ってすぐのところにショーケースがあって、これまでに作った別製ノートが無造作に飾られていた。

こんな鮮やかなツバメノートも。半分だけ色をつける発想はなかった。

映画『はやぶさ 遥かなる帰還』のツバメノート。どこかで配ったのかな。
BRUTUSは、ツバメノートを模した表紙になったことがあって、それと同じものを作ったんだよ、と教えていただいた。そのBRUTUSもさっと出してきてくださって、見比べると確かにそっくりだった。

別製ノートは、図柄だけではなくサイズや形を変えてもらうこともできる。こちらはきらら舎の豆ノート。

先日cafe SAYAへお邪魔した時に見かけた記憶があるのだけれど、ネットショップでは取り扱いがない模様。これとはまた別の別製ツバメノートがある。

ショーケースの下の方は文字通りの山積みで、宝の山をこんなふうに保管していていいのかと余計なお世話で考えてしまった。ここにあるもの、全部きれいに並べて解説つけてツバメノート博物館にしたら、絶対に人が集まると思う。

大好きなツバメノートの、会社や工場を見ることができて、しかもこれから別製ノートを作ってもらうわけで、始終興奮しっぱなし。
それでもいやな顔ひとつせずに、勤務中の大事な時間を割いておつきあいくださった。工場の見学も、社屋の見学も、写真撮影もブログ掲載も、快く受け入れてくださって、感謝してもしきれない。ものすごく貴重なものを見せていただいた。

その後、肝心の別製ツバメノート。
お願いした図案は細かい線や文字を含んでいて、渡した時は「これ潰れちゃうんじゃないかな、大丈夫かな。試しに一冊刷ってみましょうか」などとお話していたのに、試し刷りどころか「自信作です」と発注数分納品してくださったそれは、細かさも濃さも完璧に表現されていた。

ノートがおじいさんの手によって、あの大きな機械を通って特別な図案になるところを想像する。想像の中は、インクの匂いとぴかぴかのノートで満たされている。