港を左手に眺めながら、東へ自転車を走らせると景色がひらけて、浦富海岸が広がる。
高い建物などなく、視界いっぱいの空と海と砂浜。合間に崖というか岩というか。海岸に着く頃には雨もすっかり止んで、青空と大きな雲を見られてよかった。
波はそれほど高くないけれど、他になんの音もしないので波音が耳に残る。
この謎の東屋? は、遙と真琴の通学路の途中にあるので、夕立の雨宿りに使うところを想像したり。
あるいは夏の部活帰りにアイスを食べたり、と思ったけれど、岩鳶高校からここまでの間にアイスを買うようなお店はなかったような。
砂浜では猫は見かけなかったけれど、猫の足跡があった。
猫、田後からここまで来るんだろうか。
さらに東へ行くと荒砂神社がある。
小学生の真琴と凛が、遙について話していたところ。
おみくじが自動販売機で、人件費の問題だろうとわかっていてもちょっとかなしい。
100円入れるとぽとっと出てくる。
中吉だった。おおむね半吉で満足。
荒砂神社を引きで見たところ(浦富観光案内所の右隣が神社)
1話、遙と真琴の通学路のカットで出てくる。カラオケルームパインは営業していなさそうな感じだった。
砂浜に近づいて右手を向くと、5話、遙と真琴が合宿について話していたシーンに重なる。
「本当に大丈夫なのか。海」
オープニングで真琴が腕を組んで立っているのがここ。反射してくまーちーをー
ところで記念碑が立っていたのだけど、どうして顔描いちゃったんだろう。
そういうの嫌いじゃないよ。
砂に覆われた岩美のマンホールは浦富海岸の意匠。
パインの向かいに、この日お世話になったたけそうさんがあるのだけど、写真を撮っていたらご主人に遭遇して、開口一番「"Free!"?」ってきかれた。はい。
今夜予約してる者ですとご挨拶して一旦おわかれ。
潮風を浴びながら自転車を漕ぎ続ける。渚交流館の更に先、ひとつ大きな山を越える(電動自転車大活躍)と、吾朗ちゃん家があったあたりに出る。
吾朗ちゃんの家から岩美駅へ行く方向とは反対になるけれど、鍋会の帰りに五人が歩いていたのはおそらくこのあたりかな。
小学校のときのリレーについて、遙が怜に話したところ。
この岩に腰かけてみたけど、結構痛い。座るのも寄りかかるのも痛い。
透き通った海が本当にきれいで、波が寄せたり引いたりするのをしばらく見ていた。
この頃には日が傾いてきたので、観光協会のコインロッカーに預けた荷物を回収+レンタサイクルのバッテリーを交換してもらうため岩美駅へ。
途中、例のファミリーマートがある。
ファミマの向こう側は一面の田んぼ。
後述するコスモスロードも、この田んぼの中にある。
コンビニに寄るため自転車をとめて、ひとやすみしつつトゥジュールのカヌレをいただいた。
これが、もう、ほんっとうにおいしくて! かりっとしてちょっとビターな外側と、中のもちもちした甘い生地がたまらなかった…おいしすぎたので翌日もカヌレを買いにトゥジュール行って、焼き菓子もりもり買い込んだ。
遙と真琴が半分ずつのソーダアイスを食べながら歩いていたところ。
「俺がなんとかする」「えっ?」 渚と怜と江が振り向いたところ。
この先へまっすぐ行くと、
岩美駅。ちょうど夕方で、駅舎やホームいっぱいに西陽が射していた。
ロータリーは陰って暗い。
渚と怜と江がホームから手を振っていたのを見送った、遙と真琴の視点。
「帰ろっか」
本当に作中そのままの景色で、いい時間帯に来ることができて感慨深かった。
レンタサイクルを一泊で借りていたものの、一日走り回ってバッテリーをだいぶ消費したので、観光協会の方に交換していただいた。
コスモスロードの場所を訊いて再び出発。駅前の自転車置き場の向こう側にあるとのことだったので、教えていただいた通りに進むと、あった。
コスモスは決して遠目にも目立つ花ではないので訊いておいて正解だった。
土の道の両側に咲いているコスモス。ちらほらとオレンジの花もあって鮮やか。
イワトビちゃんかかしが設置されているということしか知らずに行ったら、おもしろかかしがたくさんあって、Free!抜きでも楽しかった。
浦富あかねちゃん。看板の絵とかかしでだいぶ差分がある。
梅ちゃん先生とのぶさん。
岩美の中学生が作ったかかしもあった。男子中学生の作ったかかしが「ウ山陰BOLT」で、そのセンスがすばらしいなって。
かかしもさることながら、ベンチに書かれている言葉がどれもこれも味わい深くて、岩美最高。
駅から海岸方面へ向かって続くコスモスロードのおわりにイワトビちゃんかかしがいた。
イワトビちゃんが「ばらあああ」って鳴いてる衝撃。
町おこし協力隊の方が作ってくれたもの。うれしいなあ。岩美でもFree!放送されてほしいよ。
これでこの日予定していた場所は全部見たので、あとは宿へ一直線。
日が落ちきらないうちになんとかチェックインできた。
いただいたお夕飯が豪華すぎて動揺した。
カニは漁の解禁が11月だから(行ったのは10月)出ないだろうと思っていたらしれっと置かれていて、あれ!? って混乱していたら、11月に解禁になるのは松葉ガニなのよ、これは松葉じゃないカニなの、と教えていただいた。
カニも他のお魚ももずくも茶碗蒸しも全部おいしくて、こんな海鮮を食べて育ったであろうFree!の子たちがうらやましくて仕方ない。次元の混同。
イカ蒸しが最高においしかった。蒸したてを食べるというのは、関東では経験したことのない食べ方だったけど、柔らかくてつるつるで、何杯でも食べられそう。イカってこんなにおいしかったんだ。関東で食べていたのはイカもどきだった。騙されていた。
デザートに二十世紀梨。
ごはんがあの量だったので食べるのに時間がかかって、その間ずっと梨は放置してしまっていたのだけど、甘くて瑞々しくておいしかった。食事中は「これおいしい」「これもおいしい」だけでほぼ会話が成立していた。
食後、すこしだけ外へ出た。星空を見たかったので。
道路にぽつぽつと立っている街灯の明かりが届くところはかろうじて光があるけれど、それが届かないところは完全に真っ暗。隣にいる人の顔どころか輪郭も見えない。
もちろん他に人はいないので、あるのは夜風と波の音だけ。
朝早かったし一日動き回ったし翌日も予定を詰めているので早めに就寝。
窓の向こう波の音がずっと聞こえていた。岩美レポで波の音の話ばかり書いているのは、それだけ強烈に記憶に残るから。
→その4 鳥取砂丘